TORUMIRUは写真家の海人と美容家の仁美、和田夫婦の視点を切り取るウェブマガジンです。二人ならではの景色と視点をお届けしていきます。

『価値観を共有している同士だから、仕事が上手くいって当たり前』|夫婦で働くということについて。|後編






TORUMIRUインタビュー、今回は「夫婦で働くことについて」後編です!


後編は二人の持っているパートナーシップやコミュニケーションの価値観について。

私たちの日常にも活かせる学びの多い内容になっています!








前編はこちらから!











1 + 1 でも、1 がいい。




——先程、お互いの「ファンである」という話がありましたが、お互いの尊敬する部分を聞いてもいいですか?






海人
あんまりファンという感覚がないからよくわかんないけど、俺と仁美が別って感覚がなくて。どっちがどっちのファンという感覚ではないんだよね。

だから単純にリスペクトという意味では、コミュニケーション能力、対人関係、賑やかし。






仁美
賑やかし(笑)。






海人
自分を言葉で表現することとか。考えていることをわかりやすく言葉で表現できるとか。






仁美
海人君に対するリスペクトは、感性よね。彼の「世の中を見ているフィルター」を尊敬する。「そこ見てたの?」というところを見ていたりするからね。

人と違う視点。違う捉え方。それをまた自分にしか出来ない表現で表現することが出来る。そこを突き詰めている姿勢があるところ。






海人
ありがとうございます。






仁美
夫婦に働くことになってから、他の人と個人で付き合っているより、夫婦対誰かと付き合っているほうがラクだし、スムーズよね。

良い関係を保てている気がする。仕事的にも。






海人
「ヒトミカイト」で認識してもらえてるところがね。俺個人とか、仁美個人よりも二人のブランドのほうがより人気がある気がする。






仁美
人気(笑)。






——夫婦で働くということは世の中的にはあまりないのかもしれませんが、よくよく考えると二人で組み合わさったほうが強いのは当たり前ですよね。







仁美
お客さんに対しても、二人いると私が理解できないことを海人君が理解できたり、穴埋めが出来ることがある。

より細かいサポートができるということがあるのよね。






海人
周りの夫婦よりも、俺たちの夫婦の関係って、別格に良いって思われている気がするんだよね。なぜかわからないけど。







——ああ、確かにニコイチ感は強いですね。







仁美
なんでだろうね。ニコイチなのに、依存とかじゃなくてそれぞれがちゃんと自立していると言われることも多い。






——もしかしたら、ニコイチになるためにはその要素が必要なのかもしれないですね。






仁美
すごい昔に、付き合って3年目くらいのときかな。私が「二人で一個の卵がいい」って言った覚えがあるの。

二人で一個になりたいって。「0.5 + 0.5で、1 が良い」って私は言ったんだけど、海人はそれが嫌だって。

それで「1 + 1 でも、1 が良い」って言ってたの、昔の海人君。






——2にはならない、と。






仁美
そう。2 ではない。粘土みたいな感じだね。二人でも1。確か、海人君が社会人一年目くらいのときだったかな。






——すごい、若いときからそんな感じだったんですね。お互い、同年代の周りの人とはなかなか気が合わなかったんじゃ?






仁美
ああ確かに、合コンには呼ばれなかったよ(笑)。






——(笑)。当時二人が付き合ったのは価値観が同じだったからですか?






海人
それこそ尊敬できるなって思ったからかな。






仁美
私はいい匂いだったから。柔軟剤の匂い(笑)。












「1 + 1 でも、1 が良い」という例え話がありました。単純にこの言葉を発した海人君が当時、社会人一年目ほどだったというところに驚きですが、良い言葉ですね。

こういうことを素直に表現しあえるというところが、二人の間にある関係性の良さなんだろうなと感じました。

これまでのインタビューでも感じたことでもありますが、二人は自分の言葉に嘘がありません。それゆえに、言葉で表現が難しい感覚の場合、そこで詰まってしまうことがありますが、それは可能な限り嘘なく、そのままを伝えたいという現れのような気がします。

「俺は 1 + 1 でも、1 が良いな」、これを聞いて「別に 2 でも良いんじゃないか」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、これが海人君が見ている世界観で、こだわりであって、仁美さんが思う海人君の良いところなんでしょうね。









思っていたなら、思った時に言う。




——これは夫婦間に関わらずですが、二人が普段からコミュニケーションについて大切にしている部分はなんですか?意識しているところとか。






仁美
コミュニケーションに関わらずだけど、期待しないってこと。あと否定しないとか。

相手の主張が今の自分とは異なるかもしれないけど、それが間違っているとかはないから。そこの否定は絶対にしない。







海人
俺も同じ感じかな。期待しない。距離感をある程度とる。相手の土俵に土足で踏み込まないようにする。否定しない。

あとは悪口は言わないとか。できるだけ相手のいいところを見るようにする。







仁美
噂とか聞かない。自分が直接会って、思ったことしか信じない。







——自分が「どう思うか」というところを大切にしている、と。






海人
無理をしない、かな。






仁美
ああ、それ大事だね。無理して付き合うとか、昔はしちゃってたな。それはもうしないな。






海人
思ってもいないのに、無駄に絵文字つけないとか。






仁美
「返信しなきゃ」とかもないもんね、あなた。







海人
そうだね。







——聞けば聞くほど、「夫婦だから働いたほうが良いじゃん」みたいな話になってきますね。意思疎通が取れているからラクだし、効率いいし。







仁美
価値観とか大切なものが似ているから結婚しているしね。それは一緒に働いたらラクだよね。本当それだけよ。

でも夫婦でコミュニケーションがとれなかったら、誰とも取れないじゃんね。夫婦でコミュニケーションが取れないということがよくわからない。






海人
近すぎて取れないとか?






——親と深いコミュニケーションが取れないという人は多いような気がしますが、そういうのと近いのかも。でも親は選べないけど、夫婦は選んでいるから、なんとも言えませんよね。






海人
そうなんだよね。






仁美
なんでみんなそうなんだろうね?






——(これを読んでいる)みんなに疑問を投げかけましょうかね(笑)。






仁美
我慢もしないな。絶対。溜め込むとかも。あと「ずっと前から思ってたんだけど」って絶対言わない。

思っていたなら、思った時に言う。ということを決めている。






海人
あと、口調に気をつけるとか。めっちゃ怒っても。いま、こういう理由でめちゃ怒っているで「ござる」とか。






——ござる(笑)。






仁美
怒っているときは、プンプン丸って言うもんね。「いま、本気でプンプン丸だよ!」とか。面白くちゃんと怒っていることを伝える。

あと喧嘩するときは、お手々つないで喧嘩するんだもんね、うちら。そうすると戦うための喧嘩ではなくて、良い方向に向かうための話し合いになるからね。






海人
最初の話に戻るんだけど、俺が二人で仕事をするようになったきっかけ。俺にしかできないポジションで仁美が俺を求めてくれたからというのがある。

仕事辞めて、フリーになりたてのときに他の仕事もしてたけど、それは俺じゃなくても誰でも出来ることだった。

仁美が俺じゃなきゃできない要素を見つけてくれたし、そこを求めてくれたということが大きかった。






仁美
それこそ、夫婦だからわかったというところもあるんじゃないかな。彼の良さを。






海人
マジリスペk、、、ト。






仁美
大事なとこで、噛んじゃったね(笑)。













インタビューはこれまで。二人の夫婦観についてのお話はいかがでしたでしょうか。

思ったより、仕事の話よりも夫婦の話になってしまいましたが、これはこれでとても興味深いお話になりました。

少しまとめておくと、二人が一緒に働いている理由は「価値観が一緒だから」ということ。だからラクだし、仕事がスムーズに行く。

お互いの得意分野が異なるので、上手く分業が出来るということ。そして、お互いがお互いを補完しあっている関係性があるからこそ、そこに感謝できるということ。尊敬できるということ。

確かにお互いの信頼関係があり、価値観が一緒なのであれば、一緒に仕事をすることはとても楽しいことだし、自然なことですよね。であれば、夫婦で仕事をするということはかなり理想的なワークスタイルなのかなと感じました。

ただし、ここまでの関係性を築くためには、それ相応の深いコミュニケーションや信頼関係の構築が必要となります。二人は「価値観が同じだったから、夫婦になった」と言いますが、先にも述べたように、そこまで深いコミュニケーションがとれている夫婦がどのくらい今の日本にいるのか、疑問が残るところでもあります。

もちろん二人の場合は、「興味の対象が同じだった」という稀なケースということを念頭に置いて置かなければならないかもしれません。

深いコミュニケーションが取れていても、興味の対象が異なれば「一緒に仕事をする」ということに発展しないこともあるでしょう。
ただ「夫婦と仕事」という関係性は日本人のワークスタイルとして、もっとこれから発展していってもいいような気がしています。

そのためには、個々の精神的な自立とお互いを尊重できる心の土台、自らの専門分野を確立することなど、二人から見習う部分はたくさんありそうです。








前編はこちら!









写真|和田海人
聞き手|龍輪諭

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